【初心者向け】レザークラフトを始める際に揃えるべき最低限の道具!

レザークラフト

こんにちは!

この記事を開いた方は恐らく、「レザークラフトを始めたいけど、何から道具を揃えたらいいかわからない…」という悩みを抱えていらっしゃるのではないでしょうか。

そんな方向けに、まったくの素人からレザークラフトを始め、細々とですが販売するに至っている私がおすすめの道具・購入方法をご紹介させていただきます!

レザークラフトに限らず新しい情報を得ようとした場合、まずはインターネットで調べるという方がほとんどだと思います(もちろん私もそうです)。

しかしこのご時世ネットには膨大な情報が溢れており、気になる情報をすべて確認・比較するのは大変骨の折れる作業です…。

実際私もレザークラフトを始めるときまずはネットで情報を集めましたが、”サイトごとで言っていることが違う””いきなり専門店を紹介されてもわからない””これ本当に必要なの?”などと、あまりの情報量にそれだけで疲れて「また後で…」となってしまった思い出があります。

しかしそうやって足が遠のくのは非常にもったいない、レザークラフトの魅力を知ってもらいたい!

ですのでまったくのド素人が販売するまでに至った経験を踏まえ、最初に揃えるべき道具をわかりやすくご紹介したいと思います!

またおまけとして、最初は必須でなくともいずれ必要になるので余裕があればおすすめというものや、必需品の中でも1ランク上のおすすめ商品もご紹介いたします。

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ご紹介のその前に…

前置きが長くなって申し訳ございませんが、本題の前に3点だけお付き合いください!

私も”前置きはいいから早く本題に移ってくれ~”と思うタイプなのでお気持ちは重々承知なのですが、みなさんのお金と時間を無駄にしないためにもぜひお読みいただけますと幸いです。

市販の初心者向けキットはおすすめしません

ネットや量販店では”初心者向けキット”が販売されていますが、個人的にはそちらはおすすめしません。

使わないものやあまりにも品質が悪いものが入っていることがあるためです。ちなみに実体験です…。

他の方の記事等でも、おすすめしている方はあまりいらっしゃらないと感じます。

1つにまとまっていて便利に思いますが、できれば本記事や他のサイト等をご参考に必要なものをそれぞれ集めることをおすすめいたします。

ご紹介する上でのモットー

本記事では以下の事項をモットーとしてご紹介いたします!

  • 必要最低限の道具だけをご紹介!
    ⇒可能な限り1歩目のハードルを下げるため、必要最低限の道具のみを厳選しています
  • なるべく安く!
    ⇒上記同様に手の出しやすさを重視し、なるべく高価な道具はおすすめしていません
  • 専門店を使わない!
    ⇒会員登録が必要なショップは使わず、Amazon・楽天・量販店で揃うようにします

何を作るか・作れるのか?

人のよって作りたいものはそれぞれですので、目標のアイテムを設定せずにあれこれ買ってしまうと、”これ結局使わなかったじゃん…”というものが出てきてしまいます。

実際私も最初の頃におすすめのままに購入し、今思えば要らなかったなと感じるものが結構あります…。

そうならないためにも、本記事で紹介する道具で何が作れるのかという点をあらかじめご説明させてください。

それがこちら、以下のようなパスケースです!

このようなパスケースは作業工程が簡単で、金具類の取り付けがなく必要な道具も少ないため、初心者向けにぴったりなのです!

東急ハンズ等で似たようなデザインのカット済みキットがありそちらを購入いただいてもよいのですが、型紙を使って革からパーツを切り出すこともレザークラフトに必須な工程なので、できれば1枚の革から取り組んでいただければと思います。

以下にざっくりで申し訳ないですが図面を載せますので、工作用紙や厚紙で作ってみてください(普通の紙だとペラペラで上手く革に形を写せません)。
①のパーツは裏表の2枚必要となりますので、計3枚のパーツとなります。

なおこのパスケースの製作工程は、別記事で解説予定です。

パスケース作りに必要な最低限の道具12選!

前置きが長くなり失礼いたしましたが、いよいよ本題のパスケース作りに必要な最低限の道具を12個紹介させていただきます!

  1. 素材となる革
  2. 丸ギリ
  3. カッター
  4. カッターマット
  5. トコノール
  6. 紙ヤスリ(耐水ペーパー)
  7. 白ボンド
  8. 菱目打ち
  9. ハンマー
  10. へり落とし

なおこちらは一般的に家には置いてなく購入する必要がありそうなものをリスト化しています。
家に置いてありそうなもの(定規など)に関しては除外しております点ご了承ください。

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①素材となる革

1つ目は革素材です!これがないと始まりませんよね。

革は一般的に”タンニン鞣し(なめし)””クロム鞣し(なめし)”の2種類に分けられます。

そして本ブログではタンニン鞣しの革を用いることを前提としております。
理由としては、一般的にタンニン鞣しの方がハンドメイドに適しているためです。

タンニン鞣しはある程度の硬さ・張りのある革が多く作業がしやすい一方、クロム鞣しはふにゃふにゃと柔らかい革が多く手作業に向いていない面があります。

またタンニン鞣しは”コバ(革の断面)”を磨いて仕上げることに向いていますが、クロム鞣しは向いていないため特殊なコバ処理が必要となります。

あとは個人の趣向にはなりますがタンニン鞣しの革は経年変化(エイジング)が楽しめるため、革そのものが好きな方はタンニン鞣しの革がおすすめです。

上記の点から、個人的な見解ですがレザークラフトに使う革はタンニン鞣しがおすすめです!
しかしクロム鞣しの革にもしっかりと別の良さがあるので、両者の違いについてまた別の機会にご紹介できればと思います。

さて肝心な革の選び方ですが、いきなり高価で大きな革を買うのはなかなか難しいと思いますので、まずは以下のようなA4サイズのタンニン鞣しでお求めやすいものを買うことをおすすめします。

厚みは好みによりますが、1.5mmが厚すぎず薄すぎず扱いやすいと思います。
がっしりとした感じが好みの方は2mmでもよいかもしれません。

ちなみに当店の製品は薄さを重視しているので1mmの革で作っているものも多いのですが、一般的に1mmは薄くて作業がしづらいことが多いのでおすすめはしにくいです。

上記は染色されていないので、ブラックやブラウンの革が欲しい方は少し値段は上がりますが以下の商品がおすすめです。
栃木レザーという名前をご存知の方もいっらしゃるのではないでしょうか。


【国産/栃木レザー】オイルレザー (全4色) 1.5mm厚 4.5DS(15x30cm)【ネコポス対応】日本製 レザー レザークラフト 革 革材料 本革 レザーマート タンニンなめし カットレザー 牛革 ヌメ革 皮 ハンドメイド クラフト 黒 茶 コバ磨き エイジング 経年変化 はぎれ 端切れ 高級

②丸ギリ

丸ギリは簡単に言えばよくあるキリ(錐)です。

家に普通のキリがある方はそちらでも代用できるかもしれませんが、大きすぎる場合もあるので専用のものを購入するのが無難かと思います。
丸ギリは型紙を革に写したり、穴を空けたり、糸の始末に使ったりと汎用性が高いので購入して損はありません!

③カッター

次は革を裁断するカッターです。

身近な道具なのでお家にある方も多いと思いますが、100均のものなどはあまりおすすめできません。
レザークラフトで用いる刃物選びにおいて、”切れ味”はとても重要だからです。

ではなぜ革包丁などの専用の刃物ではないのかと思われるかもしれませんが、そういった道具は独特の使い方ゆえに慣れるまで少し時間がかかります。

新しくチャレンジする方にはそういう地味なところでストレスを感じてほしくないので、たいていの方が扱ったことがあるカッターをおすすめしています。

「最初はカッターでよくてもいずれ専用の道具がいるんでしょ?」と思われるかもしれませんが、決してそんなことはありません!
むしろプロの方でもカッターを使用されている方をかなりお見掛けします。

かく言う私も現在も製品製作には基本的にカッターを使用しています。
むしろ使用を通り越して愛用しており、現在に至るまでいろいろな種類のカッターを試した結果カッターマニアになってしまった節まであります。

そんなカッター愛は別の記事で語らせてもらうとして、おすすめは以下のものです!

カッターの中ではお高い部類ですがそれでも数百円で、切れ味・使い勝手ともに素晴らしいです。

替え刃は以下の特選黒刃がおすすめです(10枚入りもあるのですがAmazonでは1個から購入できないので少し多いですが25枚入りの方がお得です)。

万が一レザークラフトを辞めてしまってもカッターは家にあると何かと役に立つと思いますので、ぜひ試してみてください!

ちなみに2mm以上の厚手の革を使いたい方は、カッターだと少し大変かもしれません。
決して裁断できないことはないのですが、結構な力が必要なため長く作業していると腕に疲労が溜まります(実体験)。

そんな方には以下の”別たち”をおすすめいたします。
革包丁と同じ使い方ができるアイテムなのですが替え刃式なのでメンテナンス要らず、何より安いので初心者向けにぴったりです!

④カッターマット

ご存知の通り、カッターを使う際に机を傷つけないためのマットです。

100均でも問題ありませんが、私の家の近くの店舗では小さいサイズしか売っていませんでした。
最低でもA4サイズがあれば困らないと思うので、ネットで買う場合は以下の商品が質も高くておすすめです。

⑤トコノール

ようやくレザークラフトっぽいアイテムの登場です!

”トコノール”は革のトコ面(裏のざらざらした面)とコバ(断面)に使う薬剤です。

一般的にトコ面はざらざらしていて触り心地がよくないので、トコノールを塗って磨くという使い方をします。布やガラス板で磨くとツルツルになりなります。

またレザークラフトの醍醐味の1つである”コバ磨き”にも使用します。

しっかりコバを処理した上で磨けば、以下のように滑らかなコバに仕上がります。
コバ磨きはこだわりのある方が多く作り手の趣向が現れる部分でもあるので、非常に重要な工程となります。

トコ面・コバ処理剤にはいくつか種類があるのですが、トコノールをおすすめする理由は以下です。

  • ほどよい粘度で細いコバ部分にも塗りやすい
  • 無色のものと異なり白色なため、少量だけ手に取るときに見やすくて便利
  • ミニサイズがあり初心者でも買いやすい

コバ処理剤はあって困ることはないので普通サイズを買っても問題ないですが、続けられるか不安という方はミニサイズから始めてみてはいかがでしょうか。

⑥紙ヤスリ(耐水ペーパー)

耐水ペーパーとは、耐水性のある紙ヤスリのことです。

タイトルにはわかりやすく紙ヤスリと書かせていただきましたが、レザークラフトでは水を使うことも多いので耐水ペーパーがおすすめです。

100均やホームセンターでも簡単に入手できます!番手は400番がおすすめです。

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⑦白ボンド

白ボンドとは以下のようなボンドのことです。工作などで一度は使ったことがあるのではないでしょうか。

レザークラフトには専用の接着剤が必要と思われるかもしれませんが、こちらで十分作成できます。

こちらも100均やホームセンターで簡単に手に入ります。

⑧菱目打ち

ここに来て専用の道具です。こればっかりは代わりが利かないため、専用のものを購入する必要があります。

菱目打ちはハンマーで叩くことで革に縫い穴を空けるための道具です。

刃の数や間隔にいろんな種類がありますが、初めての場合は以下の4mm幅の商品をおすすめいたします。

穴空けのほかに実際に作業すると穴の位置の微調整などが必要になってくるため、必須なのは2本刃の方です。

ですが刃の数が多い方が効率的に作業できるので、余裕のある方は合わせて4本刃の購入をおすすめいたします。

⑨ハンマー

上で述べさせていただいたように、ハンマーは菱目打ちで革に穴を空ける際に使用します。

今回のパスケースにはありませんが、ポンチで穴を空ける、ホックやカシメなどの金具類を取り付ける際にも使用します。

ハンマーも100均やホームセンターで手軽に手に入れられます。

プラスチックやゴム、木など材質は様々ですが、しっかり打てて力が伝わるものならば種類は問わないので、重さや取り扱いやすさで決めてもよいと思います。

⑩針

レザークラフトでは針で革に穴を空けることはないので、先が丸まっている専用の針を使います。
それでも手に刺してしまうと普通に痛いので、十分気を付けてください。

レザークラフトでは針を2本使った縫い方が一般的なので、以下のように複数針が入っている商品を選びましょう!

⑪糸

レザークラフトに用いる糸は、大きく分けて”麻””化学繊維(ポリエステル・ナイロンなど)”の2種類あります。
このうちおすすめは化学繊維で、理由は以下の通りです。

  • 耐久性が高い
  • 価格が安い
  • ロウを塗りこむ必要がない

麻糸と化繊糸では耐久性に大きな差があります。
太さにもよりますが麻糸は力強く引っ張ると切れてしまうこともある一方、化繊糸は指に巻いて引っ張ると逆に指が切れてしまうのではと思うほど頑丈です!

次に容量次第ですが、1mあたりの価格を比較すると化繊糸の方が安いことが多いです。

最後に「ロウを塗りこむ必要がない」というのは、麻糸は繊維が毛羽立ってボサボサとしているので、使う前にロウを引いてきれいにする必要があるのです。

化繊糸は購入してすぐに使えますが、麻糸は必要な道具が増えますしロウを引くというワンアクションが増えることになります。

以上の点、というよりほとんど耐久性の理由から、プロの方が商品を作る際はほとんど化繊糸を用いているのではないでしょうか。

麻糸は特有の雰囲気があり私も好きなのですが、まずは化繊糸を使ってみて慣れてきたら好みに応じて使い分けることをおすすめいたします。

そんな化繊糸ですが、クラフターなら誰もが知っているであろう大定番である”ビニモMBT”という商品がおすすめです。

ご注意いただきたいのが、”ビニモ”というビニモMBTとは異なる商品がある点です!

ビニモ、ビニモMBTともに複数の糸を撚って作られているのですが、ビニモMBTは糸同士の間に接着剤が付いており撚り戻し(糸がばらける)が起きにくい一方、通常のビニモはボンドが入っていません。

ビニモMBTはビニモを改良して作られたものなので、あえてビニモを選ぶ理由がある場合を除けば基本的にビニモMBTを選んで間違いないと思います。

こちらの商品は製品名こそビニモMBTではないですが、ビニモMBTを小分けにして販売されているものです。
ビニモMBTは入手経路がある程度限られており専門店などではもっと大きいサイズでしか売ってなかったりする中、こちらは手頃なサイズと価格で販売されており大変おすすめです!

ビニモMBTは番手(太さ)が選べるのですが、5番が最もスタンダードなのでまずは5番を選べば間違いはないでしょう。

⑫へり落とし

最後に紹介するのはへり落としです!

へり落としはその名の通り革のへり(角)を落とすための道具で、こんな感じで使用します。

革の断面は直角のため、そのままだと手で持ったときに角が当たって触り心地がよくありません。
へりを落として面取りすることで感触がよくなることに加え、きれいなコバを作ることにも繋がります。
へり落としは使わないという方もいらっしゃるようなのですが、個人的には必須の道具だと思っています。

そんなへり落としですが、安いものだと以下のように1000円ほどで購入可能です。

へり落としには刃幅のサイズ(0.8~1.2mmほど)があるのですが、革の厚みに応じて選ぶ必要があり、一般的に厚い革ほど大きくへりを落とすので大きいサイズを使います。
基準としては1mmが最もスタンダードで、1.5mm~2mm厚程度の革に向いています。

私は普段1mm厚の薄い革を扱っているので、へり落としは小さめの0.8mm幅を使用しています。

しかし初心者向けの記事で書くことではないかもしれませんが、あえて言わせてください。
へり落としの性能は値段に比例します!

レザークラフトの道具は安いものから高いものまで様々ですが、基本的に使う側に腕がありメンテナンスをしっかりと行っていれば、安い道具でも十分に製作可能です。
海外製の高級ツールなどは持ち手の木に最高級の素材を使用しており…みたいなことが多く、性能はもちろん高いですがある意味趣味の領域のようなものも多いです。

ですがそんなレザークラフトツールの中で、へり落としは品質と値段が直結しやすいものだと私は思っています。

具体的にポイントを上げると、”切れ味の持続性”です。

へり落としは刃物なので定期的なメンテナンス(砥ぎ)が必要なのですが、安いものは最初はよく切れてもしばらく使っていると砥いでも切れ味が戻らなくなります。
一方ある程度のグレードのへり落としは、メンテナンスすることで長い間切れ味をキープすることが可能です。

レザークラフトを始めるときは出費を抑えるために、なるべく安いもので揃えるに越したことはありません。
しかしレザークラフトを続けていると、へり落としにおいてはきっと最初に買った安いものでは物足りなさを感じてくると思います。

事実私も最初は1000円ほどのものを買ったのですが徐々に不満を感じるようになり、理想のへり落としを求めてさまよったものです…。

以上の点から、もし可能であればへり落としは少しいいものを購入しても損はありません。
次の項でおすすめのちょっといいへり落としをご紹介しますので、よろしければ参考までに見てみてください!

しかしいきなりへり落としとかいうよくわからない道具にお金をかけるのはちょっと…と思う方も多いのではないでしょうか。

カッターとかなら仮にレザークラフトを辞めても他に使い道もありますが、いかにもレザークラフトにしか使えない道具に最初から投資するのは怖いですよね…。
例によって私もそう思っていたので、最初は安いものから始めました。

へり落としはいいものをなんて言っておきながら恐縮ですが、それよりもまず初めの1歩を踏み出すことが重要だと思うので、高めの商品にハードルを感じて躊躇するくらいなら安いものでもまずは挑戦してみる方がきっと得るものがあると思います!

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必須ではないけどぜひおすすめしたいもの!

ここからはなくてもなんとかなりますが、余裕があればぜひおすすめしたい以下の商品をご紹介いたします。

中にはほぼ必須じゃん…と思うものもあるかもしれませんが、一応本当に必須ではないので何卒ご容赦ください…。

  1. 菱ギリ
  2. ディバイダー or ステッチンググルーバー
  3. ちょっといいへり落とし
  4. NT革たち

①菱ギリ

1つ目は菱ギリです。

菱ギリは菱型の刃がついたキリで、菱目打ちのキリバージョンのようなものです。
手で握って刺すことで、菱目打ちのように革に縫い穴を空けることができます。

菱ギリは刃が一本しかないので菱目打ちの方が一度に複数穴が空けられて効率いいじゃん!と思われるかもしれませんが、菱ギリにはとっても大きなメリットがあるのです。

それはずばり、音を出さずに作業ができることです!

菱目打ちはハンマーで叩いて革に穴を空けますので、ご想像の通りなかなかの打撃音が発生します。
マンション等集合住宅ではご近所トラブルになってしまうほどかと…。
戸建てのおうちでも家族から文句を言われるかもしれませんし、夜だと気を遣って作業自体できないこともあるでしょう。

私は現在マンション住まいなのですが、本当に来るかは別として”苦情がきたらどうしよう”とびくびくしながら作業するのはストレスなので、最初から菱ギリを使うようにしました。

めちゃめちゃ防音性の高いおうちにお住いの方は別かもしれませんが、集合住宅にお住いの方は実際のところ必須アイテムと捉えていただいてよいかと思います。

値段もそこまで高くなく、こちらの商品はおすすめです。

菱目打ちは4本など同時に穴あけができるので菱ギリより効率的に思うかもしれませんが、実際やってみると菱目打ちの位置合わせやハンマーの取り扱いなどに意外と時間がかかるので、正直あまり差はないと思います(バッグなど大きなアイテムになると別かもしれませんが)。

さらに菱ギリには”仕立てる”という次のステップがあり、レベルアップには欠かせないアイテムとなります(こちらの記事をご参照ください)。

ぜひすべての方に購入を検討いただきたいツールです!

なお菱ギリで穴を空けるときは、貫通した刃が机に当たらないようにする必要があります。
革の端切れを重ねて下に敷くか、専用のコルク板を合わせて購入するようにしましょう。

②ディバイダー or ステッチンググルーバー

ディバイダーもステッチンググルーバーも、縫い穴をあけるためのガイド線を引く道具です。

定規と丸ギリで代用できますが、毎回幅(一般的に革の端から3mmが多いです)を測って線を引かなければなりません。
一方ディバイダーやステッチンググルーバーは自分で幅を設定し固定できる仕組みなので、何も考えずただ使うだけで任意のガイド線を引くことができる便利な道具です。

さてタイトルにはディバイダー or ステッチンググルーバーとあるので当然「2つのうちどっちがいいの?」と思われるかもしれませんが、大変申し訳ございませんが正確には3つのうちから選ぶ必要があります…。

ステッチンググルーバーの中には”マルチステッチンググルーバー”という上位種があるのです。
ついてはマルチステッチンググルーバーを含めた3つのそれぞれの違いと、個人的なおすすめをご紹介させていただきます。

2.1 ディバイダー

ディバイダーは以下のようにコンパスのような形をした道具です。

突起のネジを回して足を任意の幅に固定し、片方を革の端に引っ掛けてスライドすることによりもう一方の足で線を引く仕組みです。

ディバイダーのメリットは、この後に出てきますがステッチンググルーバーよりシンプルな形をしているため、いろいろな箇所の線引きに使える点です。
バッグなど複雑な構造のものになると、ステッチンググルーバーだと線を引きにくい場面もあるのですが、ディバイダーだとそのスリムさを活かしてが活躍することができたりします。

一方デメリットとしては、押して線を引くことができない点です。

足が針のように尖っており押すと革に刺さってしまいそうになるため、線引きの際は引くだけの一方通行となります。
ガイド線はしっかり付けたいこともあるので、そういった際は往復で使えず少し不便に感じるかもしれません。

なお上級者の方は足を耐水ペーパーなどで磨いて丸みを持たせた形にしてこの問題デメリットを解決しているそうですが、初心者には少し難しいので一旦考えないものとしております。

おすすめのディバイダーは上記の商品のうち、一番小さい7.5cmのものです
この商品の他サイズも含めてディバイダーは無駄に大きいものが多いのですが、こちらは手に収まるサイズで扱いやすさがピカイチです!

2.2 ステッチンググルーバー

ステッチンググルーバーもガイドを引く道具なのですが、正確には線ではなく革表面にほんの少しの”溝を掘る”道具となります。

溝を掘ることで手縫いをした際に糸がその溝に収まることで、糸を外部の摩擦から守り摩耗を防ぐという役割があるのです。

こちらがステッチンググルーバーなのですが、L字の形をした先端に丸い刃が付いており、そこを押し当てて溝を掘るという使い方をします。

メリットとしては、上にあります通り糸を溝に埋めることで摩擦を受けにくくすることができる点です。
革は基本的に丈夫なので、革製品にダメージが現れるのは革そのものではなく糸からだったりします。
そこをカバーすることで、耐久性の向上が期待できます。

一方デメリットとしては、革を削ってしまうので見た目がきれいでないことがある点です。
手縫いをして糸で覆っても削れた部分が見えてしまうことが多いです。
ほんの少しとは言え革の中で一番丈夫な銀面(表面)を削ってしまうため、1mm以下の薄い革などの場合耐久性に影響が出る可能性もあります。

また小さいですが刃物のため、定期的なメンテナンスと刃の交換が必要となります。
刃先が小さく手入れがしにくいためついついおざなりになってしまい、刃の交換費用がかさんでしまうということもあるかもしれません。

以上の点から個人的には正直あまりおすすめしておりません。

糸を革に沈めることは溝を掘らなくともある程度可能ですし、麻糸は少し心配ですが化繊糸ならそもそもの耐久性が高いからです。

何より次で紹介するマルチステッチンググルーバーが完全に上位互換なので、あえてこちらを購入する必要は薄いのではと思っています。

2.3 マルチステッチンググルーバー

マルチステッチンググルーバーはその名の通り、マルチ(多用途)に使えるステッチンググルーバーです。
先端にいろんなアタッチメントをセットすることができ、1台でいろいろなシーンに使用できます。

さっそくですが、こちらがおすすめのマルチステッチンググルーバーです。
溝堀り用の刃のほか、モデラという少し太めの線を引くためのアタッチメントが付いています。
結論から言うと、こちらのモデラがガイド線引きに最適です!

丸い滑らかな形状をしているので、ディバイダーと異なり押しても引いても線を引くことができます。
これの何が良いかと言うと、少し太めの線が引けるモデラでそこそこ力を入れて何度か往復させると、革が凹みいい感じの溝ができるのです!

そしてお察しの通り、その溝に糸を収めることで上記の耐久性アップが期待できます。
革を削っているわけではないので糸を革に埋める効果はグルーバーには劣りますが、その分見た目に影響することなく断然きれいに仕上がります。

メリットは他にもあり、モデラは刃物ではないので基本的にメンテナンスや交換が不要です。

またデフォルトで溝堀り(グルーバー)用の刃が付属しているのでそもそもステッチンググルーバーとしても使えるほか、別売りになりますがディバイダー用アタッチメントもあり1台3役をこなせる素晴らしいアイテムなのです!

実際私も普段の製作にはマルチステッチンググルーバーのモデラを使用しており、3つの中でも最もおすすめする商品でもあります。

デメリットとしては、価格が高いことです。
多機能なので仕方ありませんが、本記事で紹介する道具の中でもかなり高い方であり、初めて挑戦する方にはちょっとおすすめしづらいというのも事実です。

多機能とは言っても3種類なんて使わないし1つで十分、その分価格を抑えたい、と言う方もいらっしゃると思います。

お気持ちはよーくわかるのですが、実際にガイド線引きをやってみるとモデラがダントツに素晴らしく、そのモデラがあるのはマルチステッチンググルーバーだけなのです。

実際私もほとんどモデラしか使っていないのですが、今から他の道具に移る気はまったく起きないくらい満足しています。

ですので余裕のある方、定規と丸ギリでの線引きに物足りなさを感じてきた人にはぜひマルチステッチンググルーバーをおすすめしたいと思います!

③ちょっといいへり落とし

さてやってきました、前項で語らせていただいたへり落としです。
性能と価格が比例するのでできれば少しいいものを、というお話をさせていただきました。

へり落としの値段はピンキリなのですが、少しいいものとは具体的に3000円程度を想定しています。
現に私はその価格帯のへり落としを使用しているのですが、明らかに1000円ほどの入門用製品とは異なる素晴らしいクオリティです。

上を見れば1万円を超える海外製の製品もあり切れ味はさらに素晴らしいそうなのですが、私は3000円クラスのへり落としで十分に満足しておりそれ以上は現状必要性を感じていません。

そんな私が自信を持っておすすめするのが、以下のマスターへり落としです!

こちらはハイス鋼という非常に硬い金属が使われているそうで、そのおかげかメンテナンスにより切れ味を長い間キープすることができます。

またへり落としは製品によって刃先の形状が様々なのですが、マスターへり落としは非常にシンプルな形状をしており扱いやすく、メンテナンスもしやすいです。

3000円ということで手を出しやすいとは言えませんが、へり落としのランクアップをお考えの方にはぜひおすすめしたいです!

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④NT革たち

最後にご紹介するのは”NT革たち”です。
こちらはカッターで有名なエヌティー株式会社が製作している革を切る専用の刃物です。

そんな革たちですが、カッターで切りづらい厚い革の裁断におすすめさせていただいた”別たち”のパワーアップバージョンと思っていただいて問題ございません。

では何がパワーアップなのかというと、まずは持ちやすさです!
別たちは柄が長く刃先まで距離があるので重心が不安定になりやすいのですが、革たちは柄が短く安定して力を刃に伝えられます。
また持ち手が太いため、握ったときの安定感が増すのも大きなメリットだと思います。

さらに決定的に違うのが、革たちには”斜め刃”がある点です!
カーブ状に革を切るときは他の箇所を切らないよう、対象物と刃物の接地面を少なくしなければいけません。

そこで役に立つのがこの斜め刃です!
手首を傾けることで別たちでも対応可能ですが手首への負担が大きく個人的に苦手なため、この斜め刃はすごく重宝しています。
もちろんまっすぐの替え刃もありますので、革たちだけで2種類の刃を使い分けることが可能です。

お値段は1500円ほどと別たちよりも高価ですが、カーブをよく切る方にはもちろん別たちより断然持ちやすいので、幅広い方におすすめできる製品です!

最後に

大変長くなってしまいましたが、レザークラフトを始める際の最低限の道具+αをご紹介させていただきました。

私の実体験を多く含んだチョイスですので、初心者の方はもちろんすでに始めている方にもぜひ読んでいただければ幸いです。

いっしょにレザークラフトを満喫しましょう!

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